備品・消耗品

特養の紙おむつコスト削減 5つの実践方法

この記事でわかること

  • 特養の紙おむつコストが施設運営費に占める割合と、削減できる余地
  • 明日から実践できる5つのコスト削減方法(現場で本当に効くもの)
  • 業者選びで失敗しないための6つのチェックポイント(直送契約・運送連携を含む)
  • 広島・岡山・山口東部の特養経営者からよくいただく質問への回答

特養における紙おむつのコストは、入居者100名規模の施設で年間1,500万円を超えるケースもあります。日本の大人用紙おむつ市場は約2,000億円規模に成長しており、その大きな受け皿が介護施設です。本記事では、広島・岡山に6拠点を構え山口東部までカバーする当社(深川医療機)が40年以上にわたり介護施設の備品供給に携わってきた知見から、現場で効果のあった5つのコスト削減方法と、業者選びの実践的なチェックポイントを共有します。

なぜ特養の紙おむつコストが運営に重くのしかかるのか

特養の紙おむつ費は、施設運営費の中でもトップクラスの比重を占める消耗品です。入居者の要介護度が高い特養では、1人あたり1日6〜10枚の紙おむつ・パッドを使用するのが一般的で、これが100床規模の施設になると月100万円超の規模になります。

さらに重要な点として、介護保険施設では入居者のおむつ代を別途徴収することができません。厚生労働省の通知(平成12年老振発第25号他)により、おむつ代・おむつカバー代・洗濯代は保険給付の範囲内とされ、特養・老健・介護医療院等では入居者から実費を取れない仕組みになっています。つまり紙おむつ費は施設運営費の純粋な負担であり、ここを削減できるかどうかが施設の収益を直接左右します。

しかも、紙パルプ価格の上昇や物流コスト増の影響で、近年は仕入れ価格そのものが上昇傾向にあります。現場の施設担当者からは「3年前と同じ商品でも、年間で200万円近く差が出てきた」という声も上がっています。

つまり、紙おむつのコスト管理は「すぐ手を打たないと毎年確実に経営を圧迫する固定費」です。ただ、現場では「使う量を減らせない」「業者を変えるのは怖い」という声も多く、なかなか踏み込めない領域でもあります。

紙おむつコスト削減 5つの実践方法

ここからは、特養の現場で実際に成果が出た5つの方法を、効果の出やすさ順にご紹介します。すべてケアの質を落とさずに実現できる施策です。

1. 入居者ごとの適正サイズ・吸収量を見直す

結論から言うと、これが最も即効性のある削減策です。多くの施設で、入居時の状態のままサイズ選定が見直されないまま使い続けられているケースが見られます。

具体的には、以下の3点をチェックしてください。

  • 体格に対してサイズが大きすぎる → ワンサイズ下げると単価が下がり、漏れリスクも逆に減ることが多い
  • 夜間用と昼間用が同じ吸収量 → 昼は薄型に切り替えるだけで1日あたり1〜2枚分のコスト減
  • パッドを使わずおむつ単体で運用 → パッド併用でおむつの交換頻度が減り、結果的にトータルコスト減

たとえばサイズ・吸収量の見直しを徹底した特養では、月額の紙おむつ費が10%以上減少したという報告もあります。

2. 使用本数の「見える化」と日次モニタリング

使用量データを取らないと、改善の効果も問題も見えません。記録は手書きでも構いませんが、「どの入居者が・何時に・どの商品を使ったか」を1ヶ月でも記録すると、必ず無駄が見つかります。

よくあるパターンとして、夜勤帯にスタッフが「とりあえず多めに」交換しているケースや、特定の入居者だけ消費が突出しているケースが浮かび上がります。後者は実は皮膚トラブル予防のために必要なケースもあるので、単純に削減すれば良いわけではない点に注意してください。

3. 卸業者の見直しと一括購入の検討

介護施設向け紙おむつの主要メーカーには、ユニ・チャーム、王子製紙、大王製紙、カミ商事、リブドゥコーポレーション、白十字、花王など複数があり、各社が施設向けに豊富なラインナップを揃えています。業界全体では近年、「吸収量や漏れ防止」だけでなく、皮膚トラブル防止や排泄ケア研修等の付加価値競争に軸足が移っています。

当社(深川医療機)の主要仕入れ先は ユニ・チャーム・王子製紙・大王製紙・カミ商事 の4社で、施設の状況や入居者の状態に応じて最適な銘柄をご提案しています。

長年付き合っている業者があると、見直しの話を切り出しにくいものです。ただ、相見積もりを取るだけでも、現在の業者から「もう少し下げます」と提案が出てくることがあります。

一括購入を検討する場合は以下が交渉ポイントになります。

  • 年間契約による単価固定(価格高騰リスクのヘッジ)
  • 配送頻度の最適化(週2回 → 月2回など、在庫スペース次第)
  • 複数アイテムをまとめての契約(紙おむつ+ペーパータオル+マスク+消耗品など)

4. 直送契約と運送会社連携の活用

最近の介護施設では、卸業者を経由せず、メーカーや一次代理店から施設へ直接配送する「直送契約」のニーズが増加しています。中間流通コストを抑えられるメリットがあり、施設規模が一定以上ある場合は検討の価値があります。

ただし直送契約は配送頻度や最小ロットの制約があるため、業者との緊密な連携と運送会社との運用調整が不可欠です。たとえば以下のような調整ポイントがあります。

  • 配送日・時間帯の固定(受入体制の最適化)
  • 緊急配送への対応可否(在庫切れ時のリスクヘッジ)
  • 運送会社の保管・受け渡し方法(ドライバー手渡し/置き配等)
  • 請求・支払いフローの明確化(メーカー直送と業者経由の混在を整理)

運送会社との関係構築がしっかりしている業者を選ぶことで、トラブルなく直送のメリットを享受できます。逆にここを軽視すると、緊急時の在庫切れや誤配送がコスト削減効果を相殺してしまうため、業者選びと同等以上に重要な要素です。

5. 排泄ケア技術向上による根本的な削減

これは中長期の取り組みですが、最も大きな削減につながる可能性のある領域です。具体的には以下のような取り組みがあります。

  • 排泄リズムの記録と把握(多くの入居者にはパターンがある)
  • トイレ誘導・ポータブルトイレ活用の徹底
  • 水分摂取量の最適化
  • 自立支援的なリハビリパンツへの切り替え検討

排泄ケア研修を取り入れている施設では、入居者のQOL向上と紙おむつコスト削減を同時に達成できているケースが多くあります。実際、業界全体でも「オムツの吸収量を競う」から「オムツを外す(オムツ外し)支援」への流れが進んでおり、排泄ケア専門スタッフの配置や、リハビリ・トイレ誘導の科学的アプローチを取り入れる施設が増加しています。これは結果的に紙おむつコストと入居者のQOLの両方を改善する経営戦略として評価が高まっています。

業者選びで失敗しないための6つのチェックポイント

業者を見直すなら、価格だけで選ばないことが重要です。次の6つの観点で比較してください。

チェック項目 なぜ重要か
1. 配送の柔軟性 急な追加発注に対応できるか。在庫切れリスクを下げる
2. 商品ラインナップの幅 サイズ・吸収量・形態が揃っているか。入居者ごとの最適化に必要
3. サンプル提供の有無 切り替え前に試せるか。失敗リスクを下げる
4. 営業所の近さ トラブル時に駆けつけられる距離か。配送費にも影響
5. 他の備品も扱えるか ペーパータオル・マスク等の消耗品も含めた一括取引で更にコスト削減できる可能性
6. 直送契約・運送会社連携 メーカーからの直送に対応できるか、運送会社との運用調整体制があるか。中間コスト削減と緊急対応の両立

瀬戸内エリアの特養に密着した業者を選ぶメリット

全国規模の大手業者は単価面で魅力的に見えることがありますが、広島・岡山・山口東部の施設においては地元密着の業者を選ぶ実利が意外に大きいと感じています。

理由は3つあります。まず、急な配送要請に対応しやすいこと。広島・福山・尾道・呉・倉敷のエリア内であれば、当日中の追加配送が可能な業者が多くあります。山口東部(岩国・周南エリア)も翌日対応が可能な業者があります。次に、入居者の状態変化に応じたサンプル提供や商品提案がきめ細かいこと。そして3つ目に、紙おむつ以外の備品(ペーパータオル・マスク・特殊浴槽・見守りセンサー等)まで一気通貫で相談できる業者が瀬戸内エリアには複数あることです。

当社(深川医療機株式会社)は広島・岡山に6拠点(広島市西区・安佐北区・呉市・尾道市・福山市・倉敷市)を構え、山口東部までカバーしています。同様の総合対応ができる業者は地元にもいくつかありますので、ぜひ複数社を比較検討してみてください。

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よくあるご質問

Q1. 紙おむつのコスト削減は、どれくらいの期間で効果が出ますか

サイズ・吸収量の見直し(方法1)であれば、実施した翌月から月次コストに反映されます。業者切り替えは年間契約のタイミング次第ですが、相見積もりだけでも現業者の価格交渉に使えるため、すぐに着手することをおすすめします。

Q2. 直送契約は施設運営にどんな影響がありますか

中間コスト削減のメリットはありますが、配送頻度・最小ロット・在庫スペースの調整が必要になります。特に在庫切れ時の緊急対応や、運送会社との連携体制を業者と事前にすり合わせておくと、トラブルなく運用できます。施設規模が大きいほど直送のコストメリットが出やすい傾向があります。

Q3. 一括契約は本当にコスト削減になりますか

年間使用量が把握できている施設であれば、契約による単価固定と数量割引で5〜15%程度の削減が見込めるケースが多いです。ただし急な需要変動への対応力は下がるため、契約条件の柔軟性も確認してください。

Q4. 排泄ケア研修はどこで受けられますか

排泄ケア・おむつフィッター系の研修は、複数の窓口で受講可能です。代表的なものとして以下があります。

  • 各都道府県のシルバーサービス振興会
  • 社会福祉協議会(都道府県・市町村)
  • 各県の訪問介護事業者連絡協議会
  • オムツメーカー独自開催の研修(ユニ・チャーム等が商品知識と排泄ケア技術を組み合わせた実務研修を提供)

広島県・岡山県・山口県内でも複数の研修プログラムがあるため、近隣の各団体・取引先のメーカーへのご相談はもちろん、当社(深川医療機)でも研修情報のご案内や、お取引メーカーの研修への参加調整が可能ですので、お気軽にご相談ください。

Q5. 紙おむつ以外にコスト削減余地が大きい備品はありますか

ペーパータオル・マスク類、清掃用消耗品、栄養補助食品、見守り関連の電池・センサー消耗品などが見直し余地のある領域です。紙おむつの見直しと同時に進めることで、全体最適のコスト削減が可能になります。

まとめ

特養の紙おむつコストは「下げられない固定費」と思われがちですが、実際にはサイズ見直し・モニタリング・業者見直し・直送契約活用・排泄ケア向上の5つの方法で大きく削減できる余地があります。

大切なのは、ケアの質を落とさずに、現場のスタッフの納得を得ながら、段階的に進めることです。一気に全量切り替えるとリスクが大きくなりますが、テスト導入→検証→本格導入のサイクルを回せば、ほぼリスクなく成果を出せます。

まずは現状の紙おむつ使用量・コストの「見える化」から始めてみてください。データが揃えば、次に取るべき手が自然に見えてきます。

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参考情報

  • 厚生労働省「介護保険施設等におけるおむつ代に係る利用料の徴収について」(平成12年老振発第25号、老健発第94号)
  • 厚生労働省「介護事業経営実態調査」「介護サービス施設・事業所調査」
  • 経済産業省「生産動態統計調査 紙おむつ月報」
  • 大人用紙おむつ市場規模・主要メーカーシェアに関する各種業界レポート

本記事は深川医療機株式会社 代表取締役 竜(広島・岡山6拠点+山口東部カバー・社員115名・介護福祉商材専門商社)の経営者としての知見と、現場担当者へのヒアリング、ならびに厚生労働省・経済産業省の公開統計・業界レポートに基づき作成しています。記事内容は2026年5月時点の情報です。市場規模・主要メーカー情報は変動するため、最新情報は各公式情報をご確認ください。

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